【高音】★★★★
【中音】★★★★
【低音】★★★★★
【傾向】ドンシャリ
【解像度】良い
【分離感】普通
【音場】普通
【フィット感】普通
【取り回し】普通
【ドライバー】1DD
【発売当時の値段】20680円ぐらい
【筆者が購入した値段】Aliexpressで8000円ぐらい
【点数】 ★★★★★★★★ 8/10
既に高級イヤホンブランドとして知名度も上がってきたTFZのイヤホンである。
KINGシリーズも同社の人気シリーズの1つだが、今回のKING EDITIONはシリーズの中でも最も上位的な位置づけだ。
金属筐体に、スイッチで音質を切り替えるギミック、見た目も美しく、まさに王の中の王と言えるイヤホンだ。
付属品等は「いつも」と変わらず。個人的には必要十分だと思っている。
1、音質以外の評価
個人的にTFZのイヤーピースはフィット感が良く、特別に交換の必要性を感じていない。今回は純正のMサイズのイヤーピースで視聴した。
高音の伸びに不満があればAET07辺りが有力な選択肢になると思う。
最近のTFZに不満があるのは、いつからか白くて高級感のあるケーブルに付属ケーブルが変わったのだが、耳掛け部分が硬く、ケーブルの柔軟さがないが故にイヤホンのフィット感が削がれ、耳から抜けやすくなってしまう。
これによって低音の量感がきちんと確保できていないと感じており、純正ケーブルの音質に不満が無いにも関わらず、リケーブルを余儀なくされてしまう。
2、音質評価
ロックのために生まれたイヤホンと言っても過言ではない。
このイヤホンで聴くべきはバンドサウンド。少しオールドスクールな物の方が良いかもしれない。
高音は伸びるわけではないのだが、非常に硬めの音で存在感がある。ドラムの音は勿論、ピアノの音も綺麗にならす。
中音域は躍動感のある楽器の音が楽しい。ボーカル重視の方には、少しだけボーカルが遠く感じるかもしれない。
低音は量感があるが、タイトで締まりがあり、ボワつくような印象はない。
2つのモードだが、開封時に設定されているMusic Modeは低音の量感があり、名前通り、ノリで楽しく聞かせる。
ただ後述のProfessional Modeに比べると篭った印象を持つ方が大半であろう。
解像度を意図的に下げる事で音楽を楽しく聞かせるチューニングだと個人的には考えていて、ギターをかき鳴らすようなギターロック、ロキノンバンド等はMusic Modeで聴いている。
ただ、とにかく篭りが嫌いという方はProfessional Modeのみで使っても問題ないと思う。
Professional Modeは解像度が高く、モニターライクなサウンドになり、多くの方はこちらの方を好みそうだ。
私は音楽に合わせて切り替えて楽しんでいる。
No.3が女性ボーカルやPOPSに向いていたのに対し、KING EDITIONはとにかく音が硬く、ロックのためにチューニングされたとしか思えない硬派な音を鳴らす。
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
【3.5mm 純正ケーブル】
●Cayin N5ii(直刺し)
・D'espairsRay/REDEEMER(AAC)(ヴィジュアル系,ロック) ◎
●OPPO Reno3a + iBasso DC03 + Apple Musicによるサブスク音源
・SUPER BEAVER/アイラヴユー(ロック) ◎
・Ochunism/INSIDE(ロック) ◎
・聴色/さよならを交わすとき ○
・マハラージャン/ちがう - EP ◎
前述にも書いたが耳掛け部分の被膜が硬く、イヤホンを押し込んでもケーブルの感性によって耳へのフィット感が悪い。何度もポジションを修正する事になり、あまり良くない状況だ。
ただ前述の状況を踏まえても、量感がありながらボワつかない低音と、ガッチガチに硬いドラムの音は素晴らしく、ありとあらゆるロックをこれでもかと素晴らしく鳴らす。
【JSHiFi-Hi8にリケーブル】
●NW-ZX300(KING EDITION + JSHiFi-Hi8(2.5MM) + Cayin PH-4X)
安価な2.5mmのケーブルJSHiFi-Hi8にリケーブルして、更にCayinの2.5mm→4.4mm変換アダプターを使って、NW-ZX300のバランス接続で聴いてみた。
・空白ごっこ/A little bit(ALAC)(J-POP) ○
・ヨルシカ/夏草が邪魔をする(ハイレゾ)(J-POP) ○
・TWICE/BETTER(ALAC)(K-P0P) ◎
・THE MAD CAPSULE MARKETS/P.O.P(ALAC)(J-POP) ○
純正ケーブルの耳掛け部分のプラスチックが硬く、イヤホンのフィット感が悪い件が解決して、同じイヤホン,イヤーピースなのに見事なまでにフィットするようになった(笑)。
取り回しは良くなったのだが、純正ケーブルの時の低音の量感は鳴りを潜め、タイトでスッキリした低音になった。そのせいか女性ボーカルは純正ケーブルより良く感じるが、KING EDITIONならではの個性は減少したように感じる。
ただNW-ZX300の上質な低音はイヤホンと相まってライブ感を出しており、まるで音が耳元をかすめるような臨場感を感じられる。私は純正ケーブルのが良いと思ったが、好みの問題で、こちらが良いという方もいると思った。
●NW-ZX300(KING EDITION + KBF4815(2.5MM) + Cayin PH-4X)
・ずっと真夜中でいいのに/ぐされ
Kinbofiiの定価1万円越えの高級ケーブルにリケーブル。解像度が上がって透き通るような音になった。
これはこれで素晴らしい。女性ボーカルなんかはこちらのが良いのだが、元々の個性が失われてしまった気がする。この音なら他のイヤホンでも代用できそうな感じだ。かなり好みの音ではあったのだが、純正3.5mmケーブルに結局は戻してしまった。
KORN等のニューメタルから影響を受けたヴィジュアル系バンドの3rdアルバム。激しい曲での爆発力はトリガーを引いたような勢いで、このイヤホンならではの迫力がある。
Inside by ochunism on Apple Music
様々な音楽の要素を取り入れたオルタナティヴロックバンドの1stミニ。割と落ち着いて聞かせる楽曲が多いのだが、楽器の音に艶が加わり、派手なところは派手に、落ち着いたところは落ち着いて聞かせる。素晴らしい。
BETTER - EP by TWICE on Apple Music
EDMとの相性も良いと思われるこちらのイヤホン。TWICEのバックのデジタルな音も大迫力で鳴らし、ライブ感も抜群。DAPとの相性も良かったと思われる。
少しジャンルが限定的になってしまうイヤホンという印象だが、2万以下のイヤホンから、この音が鳴っていると思うと時代の進歩はすごい事だなと感心する。
ロックに関しては唯一無二の音を鳴らすイヤホンなので手元に1本残しておきたいし、リケーブルで大きく音が変わるので、ポテンシャルも秘めている。2つのモードもあるので、末永く遊べそうなイヤホンだ。