【高音】★★★
【中音】★★★★
【低音】★★★★
【傾向】ウォーム
【解像度】普通
【分離感】普通
【音場】普通
【フィット感】良い
【取り回し】良い
【ドライバー】3BA + 1DD
【発売当時の値段】26890円ぐらい
【筆者が購入した値段】中古で18000円ぐらい
【点数】 ★★★★★★★★ 8/10
KINERAはBd005EやSEED等の、安価ながらハイブリッド構成イヤホンがヒットし、国内でも知名度を上げた中国メーカーだ。
そのため日本ではコスパ重視のメーカーと思われている節があるが、本国では高額でデザイン性のあるイヤホンをメインに販売している。
こちらも約3万円と決してお安いイヤホンではないが、そのパッケージやハウジングには驚愕だ。
六角形の箱型パッケージは「特別な物を買った」と言う気持ちにさせ、その内容も充実。
純正イヤーピース3サイズに加えて、finalのEタイプ・イヤーピースも3サイズ、iPhoneとの変換アダプタに、6.3mm変換プラグまで入っており至れり尽くせりだ。
ちなみに変換アダプタは本国では3.5mm → TYPE C端子の物になっているらしく、国内で出回っているものはiPhoneが普及している日本仕様に変更されているのだろう。
またハウジングも値段以上に美しく10万円前後のイヤホンのデザインセンスに匹敵する。実際に首にかけているだけで一般人の度肝を抜くし、ファッションアイテムとしても良いかもしれない。
1,音質以外の評価
とにかくビルドクオリティが高い。このハウジングだけで所有欲を満たし、高級で特別な物を所持しているという優越感に浸れる。
また高級イヤホンの中には重くて装着感が悪いものも多いが、こちらのFreyaは想像以上に軽く装着感も良好だ。
ケーブルも色合いが美しく高級感のあるもので、取り回しも良い。
イヤーピースも名作と言われたEタイプが入っているし、純正のものも適度な柔らかさで装着感の良いもので、ほとんどの人がピタリとハマるのではないだろうか。
私は純正とFinal Eタイプ、両方で試してみたが、Eタイプの方が低音が上質になり、中音域も鮮明になる気がする。ただ純正イヤーピースのが高音は出ている気がする。どちらも長所があって悩ましいが、私は主にEタイプのMサイズで使ってみる事にした。
2,音質評価
高音は出ているが、刺さりとは無縁。多少、表現が雑なので、解像度重視の方や、キラキラ系が好きな方には不向きな気がする。
主張がないわけではないのだが、WESTONEのイヤホンのように敢えて刺さらないように丸い音に調節されている気がする。
中音は出ているが、他の帯域と比べて特別にという印象ではない。ボーカルも遠からず近からず。最近の中華イヤホンに多いような、女性ボーカルが強調されるようなタイプではない。
低音は量感多め。スマホ直刺しだと特にウォームに感じると思う。ただし上流を変える事でかなりスッキリした音になる。弾力性のある音で、パキパキとした音ではない。包み込むように優しい低音だ。
こちらのイヤホンは変換アダプタが入っている事が示すように、スマホ直刺しのライトユーザーにも向けられていると思う。インピーダンスも低く、実際に直刺しで再生しても、それなりに高音質で楽しい音で音楽を聴く事ができる。
ただし本領発揮するのは、やはりポタアンやDAP等の出力のある機器で試していただく事だ。特に上流によって音が大きく変わるので、かなりのポテンシャルを秘めていると言えよう。
それぞれの帯域について書くと、なんだかいまひとつなイヤホンのようだが、実際はその逆で、全ての帯域が平均以上のステータスで、実に万能な音だ。
得意なジャンルを一つ上げるのであればポップスになるだろうが、ブラックメタルのような特殊なヘヴィメタルのジャンルも難なくこなせたし、ジャズなんかも優しくウォームに奏でてくれてよかった。
ただ人によってはボーカルがもっと近い方が良いだとか、高音が鮮明な方が良いだとか、求めるものがあると思う。同価格帯のイヤホンの中では個性的だと思うので、環境があれば視聴してもらいたいところだ。
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
●OPPO Reno3a + μAMP109G2 + Apple Musicによるサブスク音源
・H△G/瞬きもせずに(J-POP,女性ボーカル) ◎
・Mega Shinnosuke/東京熱帯雨林気候 - EP ○
●OPPO Reno3a + xDuoo XD-01
・ジョバンニ・グイディ/Avec le temps(ジャズ) ○
●OPPO Reno3a + Fiio Q5s + AM2A
・ACE COLLECTION/L.O.V.E.(J-POP,ロック) ○
・崎山蒼志/find fuse in youth(J-POP,男性ボーカル) 〇
●Hif4881 2pin-4.4mm(単結晶銅ケーブル) にリケーブル後,OPPO Reno3a + Fiio Q5s + AM3D
・Humanity's Last Breath/Välde(ブラックメタル) ○
・John Carroll Kirby/My Garden(ジャズ) ○
・Ado/踊 ○
・Ado/ギラギラ ○
●Hif4881 2pin-4.4mm(単結晶銅ケーブル) にリケーブル後,NW-ZX300に直挿し
・KROHM/The Haunting Presence(ブラックメタル) ○
・Aimer/Walpurgis(J-POP,女性ボーカル) ○
・ずっと真夜中でいいのに/ぐされ(J-POP,女性ボーカル) ○
上流を変えると音がかなり変化するため、ポタアンを変えるのが楽しくなってしまった。またケーブルを変えても明らかな効果が出た。
Hif4881と低音が厚く上質になり、ジャズやメタルと言ったジャンルを楽しく聴けるようになった。ただし純正ケーブルのスッキリ感は軽減したため、必ずしもパワーアップしたとは言い難いが、バランス接続での音楽も楽しんだ。
J-POP女性アーティストのアルバム。バックの演奏も迫力もって聞こえるし、ボーカルが近すぎないのが反対に適切に感じた。このアルバムは本当にこのイヤホンに合っていたと思う。
Humanity's Last Breathの「Välde」をApple Musicで
ブラックメタルバンドの2021年のアルバム。このイヤホンに特別に合っている内容だったとは思わないが、厚みのあるリフもパワフルに再現し、ドラムの早いビートも音が被さる事なく再現した。バランス接続だった事もあると思うが、潜在的な解像度が高いのかもしれない。
POPSを美しく奏でながらも、このような特殊で過激なジャンルも見事に再生するのは、まさに万能機だろう。
【総評】
KINERAはイヤホンが発売されるごとに方向性が違うので面白い。
リケーブル効果含めてポテンシャルの高さを感じたので、末長く付き合っていきたいイヤホンだ。金額以上の価値がある品と言えるだろう。