【高音】★★★★
【中音】★★★★★
【低音】★★★★★
【傾向】ウォーム~ドンシャリ
【解像度】良い
【分離感】良い
【音場】普通
【フィット感】良い
【取り回し】良い
【ドライバー】Φ10mmダイナミックスピーカ+VST2+HDSS(R)
【発売当時の値段】20350円
【筆者が購入した値段】中古で15000円ぐらい
【点数】 ★★★★★★★★★★ 10/10
Fiio Q5sとTi3。渋谷の中華屋にて。
トライアングルの革のケースがカッコ良すぎる。意外と使い勝手も良い。
便利なイヤピケースも付属する。
恐るべしintime。これは現代のイヤホンとして、1つの完成品であると言い切ろう。
それぐらいに素晴らしい。
1、音質以外の評価
ハウジングは金属製なので一定の重さは感じるが、耳から落ちるような重さではなく、フィット感も良好。
ハウジングの形で左右が判別できるため、暗いところでも安心。
リケーブル不可だが、ケーブル自体の取り回しが良く、絡まりづらい。
シュア架けも可能だが、耳に直接入れるだけでもフィット感が良く、特別にシュア架けの必要性も感じさせない。
付属イヤーピースは名作と言われたAET07で、音もフィット感も良く、交換の必要性を感じさせない。
革製のポーチは個性的な三角形ながら、高級感があり、使い勝手も良い。
欠点と言えば、優等生過ぎて面白みが無い事ぐらいだろう。
2、音質評価
高音は出ていないわけではないが、量感のある低音が印象的で、あまり印象に残らない。
ただ不思議と女性ボーカル物を聞くとボーカルが低音に埋もれず前に出てくるし、綺麗に聞かせる。
また高音自体は直挿しだと伸びが悪いと感じただけで、音自体は繊細に、よく分離して出ている。
そのため中高音重視のDAPやアンプで再生すれば、おのずと高音も目立って聞こえる。
中音域はギター等の楽器の音などが繊細に表現される。細かく描きすぎてスピード感が犠牲になる時もあるが、多くの場合は充実して聞こえるだろう。
低音は量感多め。これは好みの分かれるところで、中高音域重視の方で、この低音の量感は多すぎるという方もいるだろう。
ただしボワつくような印象はなく、上質で、ありとあらゆるジャンルを楽しく聞かせられる要因となっているのが、この低音ではないかと考えている。
こちらのイヤホンはライトユーザーから支持を受けているintimeらしく、スマホ直挿しでもかなり鳴る。
スマホユーザーにとっては究極の選択となるだろう。
上述より、サブスクに関しては当初はスマホ直挿しで使っていたが、高音の伸びに物足りなさを感じて、高音が伸びるFiioのAM2Aモジュールアンプにお世話になった。
ポタアンは高音が伸びるものを使うと、低音も引き締まり、足りない部分が保管されて良いかもしれない。
3、同社のイヤホンとの比較
前作に当たる「煌」、「轟」の良い部分をブラッシュアップさせたと言える。
ただし、初代「碧」や「煌」が持っていたような高音の伸びは鳴りを潜め、刺さりづらい必要最低限の高音となっている。
低音の量感は「轟」と同じぐらい出ているが、「轟」のようなスピード感やタイトさは無い。
「煌」や「轟」が「Ti3」の開発のヒントになったであろうことは間違いないが、音の傾向としては、そのどちらとも違うものになっていると思う。
そのため「煌」や「轟」を持っている方も「Ti3」を買う意味はあるし、その逆もしかりである。
タイトで量感すくなめの低音だった初代「碧」に比べると、かなり方向性が変わったと感じる。
「碧 light」のサウンドがパワーアップしたような印象もあり、「碧 light」ユーザーがこの音に一番すんなりとハマれるのではないだろうか。
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
●OPPO Reno3a(直挿し)
・Lifelover/Erotik(ブラックメタル) ◎
・にしな/odds and ends(J-POP,女性ボーカル) ◎
・マチルダ/NEO TOKYO(ロック,V系) ◎
・(sic)boy、KM/social phobia - EP(ロック,HIPHOP) ◎
●OPPO Reno3a + Fiio Q5s(aptx接続) + AM2A
・Black Country, New Road/For the First Time(ロック,ポストパンク) ◎
・ハイ・コントラスト/Notes From The Underground(ドラムンベース) ◎
・いよわ/ねむるピンクノイズ(ボカロ) ◎
●NW-ZX300(直刺し)
・さユり/め(ALAC)(J-POP,アコースティック,女性ボーカル) ◎
・Tricot/10(ALAC)(J-POP,女性ボーカル,ロック) ◎
※私はアルバム全曲を通して聴く事を好み、1曲単位では聞かないです。
※かなり相性が良い→◎ 相性が良い→〇 あまり良くない △
特別、ボーカルが前に出るタイプのイヤホンという印象はないのだが、このようなアコースティック+女性ボーカルのような音源では見事なまでに艶のあるボーカルを聞かせる。アコギの音も繊細に聞かせるが、低音の量感がありウォームに聞かせるため、刺さるような事はない。
Black Country, New Roadの「For the First Time」をApple Musicで
各楽器の音が立体感を持ち、非常に密度の濃い音を鳴らす。各楽器が競い合っているかのような様は、このイヤホンの描写力ならではだ。
女性メンバーによるポストロックのアルバム。スピード感のある曲が多いのだが、AM2Aのような高音重視のアンプと合わせれば、繊細かつスピーディーに鳴らしきる。ベースラインなんかは鳥肌が立つほどだ。
【総評】
低音を中心に中高音を組み立てた、現代のイヤホンの完成形と言える内容で、ほとんどのジャンルを楽しく鳴らす。
ただし金属筐体のイヤホンと聞くと中高音重視でスピード感のあるものを想像する方も多いだろうが、Ti3に関しては量感のある低音が目立つし、楽器の音を細かく描く事を得意としているためスピード感はあまり感じない。
昨今の2万円前後のイヤホンの中でも個性的な音だと思うので、迷っている方は是非視聴の上でご検討いただきたい。
個人的には素晴らしい1本だった。