【高音】★★★★
【中音】★★★★
【低音】★★★★
【傾向】ウォーム
【解像度】良い
【分離感】良い
【音場】広い
【フィット感】良い
【取り回し】普通
【ドライバー】2BA + 1DD
【発売当時の値段】21000円ぐらい
【筆者が購入した値段】中古で4900円ぐらい
【点数】 ★★★★★★★ 7/10
2018年に発売したFiioのF9シリーズのフラッグシップモデルだ。
本来は大量のイヤーピースと2.5mmバランス接続用リケーブルが付属しているが、今回は中古をめちゃくちゃ安く手に入れたために、そのような付属品は付いていない。
付いているのは画像の純正イヤーピース(恐らくMサイズ)1つのみだが、偶然にも私の耳にフィットするサイズで良かった。
1、音質以外の評価
3.5mmケーブルは触り心地もよく、シンプルな黒ながら高級感がある。多少絡まりやすいが許容範囲内だ。
金属ハウジングだが、実際に手に取ってみると想像より軽く感じた。
2,音質評価
高音はBAドライバーらしく伸びがあって美しく響く。イヤーピースにもよるが、なかなか存在感がある。
中音域は綺麗に出ているが、ボーカルは近くは感じない。POPSを再生するとボーカルとバックの演奏全体でバランス良く聞かせる。
特筆すべきは低音で、量感があるわけではないのだが、ウォームで深みのある、まろやかな音を奏でる。
この低音が好みの分かれるところだろうが、ジャズやクラシックでは独特な音色を持ってF9PROの個性を発揮する。
全体的にはフラットな音色で、一聴しただけでは没個性なイヤホンにも感じる。
3、イヤーピース
中古で買って付属のイヤーピースも1種類だけだったため、定番の物を色々と試してみた。
・AET07→低音がタイトになり、高音が伸びるようになる。シンバルの音は、より金属感を強調する。ロックやパンクはAET07のが良いかもしれないが、低音のウォームな魅力は失われ、女性ボーカルが刺さると感じる時もありそうだ。
・スパイラルドット→低音の存在感が増し、F9PROの本来の音に一番合っていると思う。高音はやや控えめな印象。
・final Eタイプ→解像度が上がりアタック感が増す。無難だが良い選択肢だ。
・CP100→低音がスッキリとして、ボーカルが少し前に出てくるような印象。F9PROの本来の印象とは違うが、個人的に結構好きな組み合わせだ。
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
●Fiio M9(直挿し)
・Aimer/Walpurgis(ALAC)(J-POP,女性ボーカル) 〇
・DAOKO/THANK YOU BLUE(ALAC)(J-POP,女性ボーカル) 〇
・CHAI MUEANGSING/CTR509(ALAC)(タイミュージック) ○
●NW-ZX300(直挿し)
・午前四時/LIVE BOOTLEG+8(ALAC)(ロック,パンク) 〇
・相対性理論/シフォン主義(ALAC)(J-POP,ロック) ◎
●OPPO Reno3a + xDuoo XD-01
・アントニオ・パッパーノ, Orchestra dell'Academia nazionale di Santa Cecilia & Bertrand Chamayou/Strauss: Ein Heldenleben & Burleske(クラシック) ◎
・ジョバンニ・グイディ/Avec le temps(ジャズ) ◎
・NEHANN/New Metropolis(ロック,ポストパンク) 〇
・テオドール・クルレンツィス & MusicAeterna/Beethoven: Symphony No. 7 in A Major, Op. 92(クラシック) ○
・土岐麻子/PINK(J-POP,女性ボーカル) ○
・Apifera/Overstand(ジャズ) ◎
※私はアルバム全曲を通して聴く事を好み、1曲単位では聞かないです。
※かなり相性が良い→◎ 相性が良い→〇 あまり良くない △
ベースの音を追うと気持ち良すぎる。バンドの音作りと、このイヤホンの方向性が合っている気がする。
オーケストラの躍動感ある演奏を、低音が支えつつダイナミックに表現する。
Avec le temps by Giovanni Guidi on Apple Music
ベースとピアノの音が生々しく響き、ライブ感もある。贅沢なサウンド。
【総評】
ジャズ、クラシックに関しては、ほとんどの音源が非常に相性が良い。特に私のようにベースラインを追いたい人間にはたまらないのではないだろうか。
全体的にフラットで優しい表現なので、ポップスやロックにメリハリを求める人には別のイヤホンが合うかもしれない。
だからと言ってポップスやロックが合わないわけではなく、楽曲とマッチした時には他のイヤホン以上に良い。
一聴しただけで惹かれるようなイヤホンではないのだが、使い続ければ続けるほどポテンシャルを感じる1本だ。