【高音】★★★★
【中音】★★★★★
【低音】★★★★
【傾向】ウォーム
【解像度】普通
【分離感】普通
【音場】近い
【フィット感】良い
【取り回し】普通
【ドライバー】1DD
【発売当時の値段】22800円ぐらい
【筆者が購入した値段】中古で4000円
【点数】 ★★★★★★★★★ 9/10
香港のイヤホンメーカーLEAR。こちらの2019年発売のイヤホンは、同ブランドが掲げる「ヒアリングケア」のコンセプトに基づきチューニングされたそうだ。
要は耳に優しい音質という話だ。
また「ブラックチェッカー」という色は日本独自デザインらしい。
ただ正直なところ、この高級感の無い見た目で22800円という事で、あまり売れなかったのではないかと推測される。
私だけかもしれないが、ヒアリングケアとか、聴覚に優しいなんてワードが出てくると、高音の伸びが悪く、抜け感の悪いイヤホンではないかとマイナスイメージも持ってしまう。
今回は中古で安く手に入ったのでレビューしてみるが、誰も話題にもしない、かなりマイナーなイヤホンだ。
1、音質以外の評価
本来であれば豊富なイヤーピースが付属するはずだが、中古のためMサイズと思われるイヤーピースが1ペアだけ付属していた。
耳に丁度よく収まったので、純正イヤーピースを継続して使っている。
ちなみにステムの口径はかなり大きめ + 楕円形で、上手く装着できないイヤーピースもありそうだ。スパイラルドット等なら容易に装着できると思う。
2、音質評価
意外と言っては失礼だが、想像よりずっと好みの音で、同価格帯の他のイヤホンと比較しても十分に薦められるものだった。
高音は出てはいるが、存在感は薄い。「ヒアリングケア」を提唱しているだけあり、ほとんど刺さらない。丸みのある音だ。
音の方向性は違うがWESTONEのイヤホンのような意図的に刺さらなくしているチューニングである。
中音域は明瞭。ボーカルを中心にバックの演奏も価格相応に鳴らす。
特にボーカルの立ち上がりなんかは凄まじいリアリティで、女性ボーカルの再現なんかは本当に素晴らしい。
またスピード感のある曲も難なくこなすが、どちらかと言えば落ち着いたアコースティックな楽曲の方が向いていると思った。
低音は量感があるがボワつくような事はなく、全体を支えてくれているような印象。
ウォームという言葉が当てはまる、中低域重視の音。高音キラキラを求める層には違うだろうが、全体のバランスはかなり良い。
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
●NW-ZX300(直挿し)
・TWICE/#TWICE 〇
●OPPO Reno3a + NIK58-TUBE + Apple Musicによるサブスク音源
・HEIZE/HAPPEN(K-POP,女性ボーカル) ◎
・Astarot/Raw Sensation of Nostalgia and Nihilistic(ブラックメタル) 〇
・Dave Bixby/Ode To Quetzalcoatl(アシッドフォーク) 〇
・ポルカドットスティングレイ/赤裸々 - EP(ロック,女性ボーカル) ◎
・MORISAKI WIN/PARADE - EP(J-POP) 〇
●OPPO Reno3a + μAMP109G2 + Apple Musicによるサブスク音源
・Dua Lipa/Future Nostalgia(POPS,女性ボーカル) 〇
・ザ・ウィークエンド/After Hours(POPS,R&B) 〇
●iPhone 8 + Fiio Q1mk2 + Apple Musicによるサブスク音源
・きゃりーぱみゅぱみゅ/なんだこれくしょん(ロスレス配信)(J-POP,女性ボーカル) 〇
●iPhone 8 + μAMP109G2 +Apple Musicによるサブスク音源
・LEA/Treppenhaus(ロスレス配信)(POPS,女性ボーカル) 〇
・カンデ・イ・パウロ/Cande y Paulo (Japan Deluxe)(ロスレス配信)(ジャズ,女性ボーカル) 〇
※私はアルバム全曲を通して聴く事を好み、1曲単位では聞かないです。
※かなり相性が良い→◎ 相性が良い→〇 あまり良くない △
HEIZEの伸びやかな声を臨場感を持って再現している。女性ボーカルものにはめっぽう強い。
先行シングルの「青い」よりも、カップリング曲の「トーキョーモーヴ」や「トゲめくスピカ(タテヨコver)」等のスローテンポの曲が、このイヤホンの特性とマッチする。
K-POPの大ヒット曲も、LUF-Skylineのウォームな音の方向性とマッチして、楽しく鳴らす。
アルゼンチンの女性ボーカルとピアノのデュオ。こういう楽曲が一番合う気もする。
【総評】
現状は新品で12000円ぐらいで買えるので、かなりお得だ。
中高音域重視でキラキラしたサウンドが好まれる時代に、中低音重視でウォームというのは少し時流には合っていないのかもしれないが、女性ボーカルの卓越した表現には目を見張るものがある。
ボーカル好きの方は是非選択肢に加えてもらいたいし、アタック感のあるDDドライバーらしい低音も好みに合えば楽しめるはずだ。
私はこの1本でLEARというメーカーに対する印象も良くなったし、また機会があればLEARのイヤホンを新規で購入したいと思える程だった。
まさに隠れ過ぎた名機である。