TRI Audioは中国系のイヤホンセラーのブランドだ。
以前にもTRI-I4というイヤホンを発売。美しい金属製のハウジングと豪華な付属品、Knowles製のBAドライバーを搭載しながらも、7000円前後のリーズナブルな金額で好評を博した。
このTRI-I3はI4に比べて1万円以上高い金額で発売され、平面磁界駆動型ドライバーなる聞きなれないドライバーを搭載。
誰しもが、このイヤホンが「当たり」か「はずれ」なのか気になったと思うが、蓋を開けてみると各レビュアー界隈で高い評価を得ており「名機」としての評価が定着した。
視聴ができない中華イヤホンで比較的高額な事もあり、気になっている方も多いと思うのでレビューしていこう。
1、音質以外の評価
パッケージは価格相応に高級感があり、ポーチもエレガントだ。
ケーブルも高級感があり取り回しも良く、ケーブルをまとめるバンドも付いているため使い勝手が良い。
イヤーピースは3種類。白い物、緑の物、あとはコンプライ系のフォームタイプのものだ。
白い物が中低音重視、緑の物が中高音重視、コンプライタイプは低音重視という印象だ。
白い物が一番バランスが良く、TRI-I3の力を発揮できる気がする。緑の物は腰高なサウンドで、明瞭ではあるが少し不自然なバランスに感じる。
フォームタイプのものは装着感が良い。高音の減衰が多少あるが十分選択肢になりうる。
ただ、より良いサウンドを求めるのであれば市販の別のイヤーピースに替えた方が良いかもしれない。
耳への装着感も比較的良好だ。
2、音質評価
全体的に低音が支配的な音ではあるが、矛盾して繊細な高音も出ており、何系のイヤホンと説明しづらいものがある。
高音は平面磁界駆動型ドライバーのせいか、繊細な音が鳴っている。
中音域も繊細で、楽器の音をリアルに、丁寧に、描写する。
低音は上質で量感もある。音が篭ったように感じる方もいるかもしれないが、このイヤホンは解像度重視のイヤホンでは、そもそも無い気がする。
ボーカルの表現が悪いわけではないが、そこに重点が置かれていない印象がある。
例えば女性ボーカルのK-POPを聞いても、ボーカル以上にシンセサイザーや楽器の音が目立ってくるような印象だ。
EDMなんかはパワフルにスピード感をもって鳴らしてくれるので向いていると思う。あとは古くて音質の良い音源=オールドロックには滅法強い。
どのジャンルもTRI-I3独自の鳴らし方をするので、その音を好きになれるかなれないかという部分が大きいと思う。
モニター的ではなくリスニングライクなサウンドと認識しており、昨今の中華イヤホンでは珍しく、リズム隊に重点があてられた個性的なサウンドと言える。
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
●iPhone 8 +xDuoo XD-01 + Amazon Music HDによるサブスク音源
・JO1/CHALLENGER(Special Edition) - EP(2021年3rdミニ)
・ミツメ/ささやき(J-POP,ロック) 〇
・三浦大知/球体(J-POP) ◎
●Astell&Kern A&norma SR25(直挿し) + Amazon Music HDによるサブスク音源
・Lee Konitz Nonet/Old Songs New(ジャズ) 〇
・Alfa Mist/Structuralism(ジャズ) 〇
・Rose/S(K-POP,女性ボーカル) 〇
・Respire/Black Line(ポストメタル) 〇
・Ausecuma Beats/Ausecuma Beats(ワールドミュージック,アフロビート) ◎
・マイケル・ジャクソン/Off the Wall(ソウル,R&B) ◎
・TOOL/Fear Inoculum(モダンヘヴィネス) 〇
・キングス・オブ・コンビニエンス/Peace Or Love(アコースティック) 〇
※私はアルバム全曲を通して聴く事を好み、1曲単位では聞かないです。
※かなり相性が良い→◎ 相性が良い→〇 あまり良くない △
ダンス要素があるポップス、三浦大知の音源なんかは、パワフルな低域でビート感もあり、楽しく鳴らす。
この手のオールドロックの高音質音源は躍動感が凄まじい。とにかく古いロックを中心に聞くという方がいたら、このイヤホンは家宝になるのではないだろうか?
最適解ではないものの、メタルのような音楽も楽しく表現する。ギターの音なんかはライブ感を持って鳴らされて、目の前で演奏されているかのようだ。
【総評】
ドライバーの構成、実際の音、共に個性的なイヤホンだ。またイヤーピースやケーブルによる大きな変化も望めて、ポテンシャルも十分過ぎる。
マニア向けの扱いがいのあるイヤホンと言える。所有欲の満たされる1本。
【点数】 ★★★★★★★★ 8/10