【高音】★★★★★
【中音】★★★★
【低音】★★★
【傾向】フラット
【解像度】良い
【分離感】普通
【音場】普通
【フィット感】普通
【取り回し】普通
【ドライバー】1DD
【発売当時の値段】10000円ぐらい
【筆者が購入した値段】中古で1490円
中国のガジェットメーカー、AUKEYのノイズキャンセル搭載イヤホン。AUKEYは設立当初はあまり目立たなかったが、最近は高音質なワイヤレスイヤホンでマニアの評価を得ている。
こちらのイヤホンは発売当時1万円前後にも関わらず、アクティヴノイズキャンセル機能を搭載。
更に2021年8月現在はAmazonで5999円で発売されており、なんと6000円以下でノイズキャンセル機能搭載という破格の値段を提示している。
今回はこちらのイヤホンをレビューしてみようと思う。
1、音質以外の評価
丸型のケースが無駄にかっこよく、プラスチックの蓋をスライドして開けて取り出す。
操作はタッチセンサーとなっているのだが、正直、この部分の作りこみが甘い。
まずイヤホンの表部分がタッチセンサーになっているので、この部分を掴んで取り出すと音楽が勝手に流れ出してしまう事があるので注意だ。
タッチセンサーの長押しでノイズキャンセルの有無を切り替えられる。
タッチセンサーを再生中に2回押すと音量を上げたり下げたりできるのだが、少し反応が遅い上に、スマホやDAPの音量と連動しているタイプのため、タイムラグや効果音の煩さを考えるとスマホ側で操作した方が快適だ。
また曲送りや曲戻しがイヤホン側で行えないため、使い方によっては不便だろう。
肝心のノイズキャンセルだが、個人的にはあってもなくても良いレベル。
例えば車の音が煩い公道などでノイズキャンセルをOFFからONにすると明らかに騒音は軽減する。
ただ元々の遮音性がいまいちで、ノイズキャンセル機能をONにして、ようやく一般的なカナル型イヤホン程度に騒音が抑えられるような印象だ。
これぐらいの遮音性だったらShureのSE215のような高性能なイヤーピースの付属したイヤホンや、コンプライ等のフォーム型イヤーピースを使う事でも得られるだろう。
SONYやBOSE製品のノイキャン性能を期待すると及ばないので、おまけ程度に考えるのが一番だ。
イヤーピースはよく言えば柔らかくて耳が痛くなりづらい、悪く言えば遮音性に乏しく、表面がツルツル滑って、例えば大きく口を開けたりすると耳から外れそうになる。
ケースの収納部分には割と余白があるので、可能であればイヤーピースは替えてしまった方が良いと思った。
2、音質評価
高音は煩い。ガチャガチャと音数が多い方ではないのだが、他の帯域に比べて明らかに主張が激しく、音源によっては耳に刺さりを感じるだろう。
高音が刺激的なため、音量を下げざるを得ないが、それだと中低音域に不満が出やすくなり、難しいところだ。
中音域は滑らかで、高音域とは変わって聞き心地が良い。
低域は量感少なめでタイトな印象。人によっては少なく感じるかもしれない。またEDMやヘヴィメタル等の低域を重視したジャンルでは、やはり足りなさを感じる。
反面、ポップスやロックをフラットに聞きたい層には良いかもしれない。低域の質自体は悪くなくて、篭ったような印象は一切受けない。
上記では色々と書いたが、全体的な音はリッチで高級感のある印象で、1万円以下の完全ワイヤレスのイヤホンと考えると、「この価格帯でこのレベルの音が出るのか」と驚かせられるような部分もある。
いわゆるハイエンドイヤホンを経験したことがない方が、このイヤホンを買ったら「良い音」と素直に思えるのではないだろうか?
イヤーピースはノーマルタイプのSedna Earfit Mサイズを装着したらケースに仕舞えず、同じくSednaEarfitのXELASTECのMサイズであれば、問題なく収納可。またSpinfit CP360のLサイズでも収納が確認できた。
通常のTWSとは形状が違うため、傘の短くない通常のイヤーピースの方がフィット感は自然で、尚且つケースにも収納できるものが多いと感じた。
XELASTECに替えた時にはパキパキとメリハリの効いた音になり、スピード感のあるポップスやロックに、より適した状態になると感じた。
CP360はXELASTECに比べるとゆったりとした音像になるが、中音域も滑らかで、高音も出ており、文句なし。
イヤーピース変更でかなり音がパワーアップするため、このイヤホンを使う際にはフィット感・音質の向上を求めるならイヤーピースの交換は必須であると力説したい。
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
●NW-ZX300(SBC接続) + 純正イヤーピース
・SEKAI NO OWARI/Lip(ALAC)(ロック) ◎
・Judas Priest/PAINKILLER(AAC)(ヘヴィメタル) 〇
・ポルカドットスティングレイ/何者(ALAC)(J-POP,ロック) 〇
・さとうもか/GLINTS(J-POP,女性ボーカル) 〇
・Afterglow/ONE OF US(HD配信)(アニソン,ロック) ◎
●iPhone 8(AAC接続) + AZLA SednaEarfit XELASTEC(Mサイズ)
・ニコラ・ベネデッティ, アントニオ・ヴィヴァルディ & フランチェスコ・ジェミニアーニ/Baroque(Ultra HD配信)(クラシック) 〇
●iPhone 8(AAC接続) + Spinfit CP360(Lサイズ)
・Khruangbin/Mordechai(HD配信)(ワールドミュージック,ロック) ◎
・the engy/On weekdays(HD配信)(ロック) ◎
・H△G/瞬きもせずに(HD配信)(J-POP,女性ボーカル) 〇
・ジェラルド・クレイトン/Life Forum(Ultar HD配信)(ジャズ) ◎
・The Depressick/Carcinoma(Ultra HD配信)(ブラックメタル) ○
・ASCA/百希夜行(通常配信)(アニソン,女性ボーカル) ○
※私はアルバム全曲を通して聴く事を好み、1曲単位では聞かないです。
※かなり相性が良い→◎ 相性が良い→〇 あまり良くない △
明るいアニソンロック。こんなのは凄いマッチする。
高音がバチッと出ててシティポップも心地よい。
CP360にイヤーピース替えてからは何を聴いても合うし、無敵状態。
滑らかな中音域でアメリカの多国籍グループも見事に鳴らす
【総評】
純正イヤーピースでは高音が刺さる程に強調され、低音の量感は少なくてバランスが悪く感じた。
しかしSpinfit CP360に替えた瞬間に、低音はタイトながらも必要十分な量感を持つようになり、低音が出る事によって強調気味と感じていた高音もバランスがよく感じるようになった。
CP360に替えてからは昨今のTWSには珍しい、やや高音よりのフラットなサウンドとなり、ジャンル問わず対応できる無敵のイヤホンになってしまった。
クラシックの弦楽器の表現も必要十分だし、ジャズは低音を重視して聞かれる方であれば深みや沈み込みがほしいと思われるかもしれないが、中高音メインで聴かれる方には清涼感のあるサウンドで非常に心地よく聞こえるだろう。
ちょっと褒め過ぎかもしれないが、AKGのQ701というヘッドホンの名機に近い音がする。
有線で1万円前後のイヤホンと勝負したら、さすがに表現力で劣るかもしれないが、日常生活で気軽に使うTWSとして、これ以上を求める必要はないと思った。
低音が強調されていたり篭っているのが苦手で、フラットでスッキリした音作りが好きな方には是非1度、試していただきたいイヤホンである。
ただし装着感、音質の改善という面でもイヤーピース交換は必須だ。
【点数】 ★★★★★★★★★ 9/10
【名機認定!!!】