【高音】★★★
【中音】★★★
【低音】★★★★
【傾向】ドンシャリ
【解像度】普通
【分離感】普通
【音場】近い
【装着感】普通
【取り回し】普通
【発売当時の値段】25000円
★良い点★
・聴覚特性に合わせて音を補正してくれるEarPrint機能付き
・高級感のあるハウジング・デザイン
★悪い点★
・低音過多に感じる人も多そう
・聞き疲れする刺激的な音作り
2017年発売。聴覚特性に合わせて音を補正してくれる「EarPrint」という一風変わった機能を導入している。
有線ヘッドホン「H1」、有線イヤホン「E1」、そしてBluetoothヘッドホンの「H2」となっており、お値段を考えれば同時発売の中ではフラッグシップモデルに相当すると言える。
今回は、この一風変わったヘッドホンのレビューだ。
1、音質以外の評価
木製のハウジングも美しくお洒落に感じる。外観は値段相応の高級感を感じる。
またキャリングケースが付属しており、折りたためばかなり小さく快適に持ち運べる。
付属品は有線接続用のケーブルと充電用USBケーブル。
装着感は悪くないが、少し側圧が強く感じ、人によっては長時間の使用で少し耳が痛く感じるだろう。
また各種ボタンを押した時にカチカチと安っぽい音がするのと、スライダーから少しだけ軋む音が聞こえる場合がある。
自宅などの静かな場所で聞いた場合にはホワイトノイズも感じる。
ただ側圧が強い分、遮音性は強めで音楽に没頭できる。また元々が低音強めの音作りな事もあって、室内でクラシックを聴くような使い方でない限りは、ホワイトノイズに関しても気にならなかった。
Bluetoothの接続コーデックはSBCのみで少し心もとない。2017年と古いヘッドホンなのもあるが、現行のワイヤレス機器に比べると通信距離も短く、通勤電車内等の混雑したところでは時折途切れも見られた。
ただ全体で見ると比較的接続は良好で、混雑した都心で使うのも問題ないと感じた。
2、音質評価
まず誰もが気になる聴覚特性によって音を補正するEarPrint機能。
内容は簡単でアナウンスに従って、音が聞こえたらボタンを押すだけというもの。
凄い機能のようだが、恐らくは、その人が聞こえづらい音域を誇張して鳴らすという話で、ボタンを押す反応が遅かった音域が誇張された帯域バランスになるものと想像される。
人によって音は違うのかもしれないが、私はEarPrint機能を使用したところ、結構に強烈なドンシャリになり、音も機能未使用時に比べて一回り大きくなった。
ダイナミックな音作りは好きだが、少々パンチが効きすぎていて聞き疲れするような印象も受けた。
もしかしたら耳が遠い人ほど煩い音作りになるのかもしれない笑。
機能未使用時の音質だが、
高域は出てはいるが存在感は薄目。ただスピード感はありカッチリとした音を鳴らす。
中域はボーカルに関しては埋もれ気味。少なくとも前には出てきていない。EarPrint使用時は未使用時に比べると、少しボーカルがくっきりとした印象。
低域は量感多め。解像度は比較的高いが、こもっている、モコモコしていると不快に感じる人もいるかもしれない。
木製ハウジングの見た目とは裏腹に、デジタルな音作りでEDMや現代ロック等の打ち込みよりの音源で効果を発揮しそうだ。
また低音の量感が多めにも関わらずスピード感のあるサウンドでエレクトロニカやテクノも向いていると思った。
反面、アコースティック等の音の繊細さを問うような音源は苦手な傾向で、クラシックも聞けないことはないが、敢えてこのヘッドホンで聞きたいとは思えないような鳴らし方だった。
EarPrint機能は聴覚測定も何回か行ったが、基本的には低音強めのバランスで、通常時に比べて更に低音や高音が刺激的になる印象だった。
最後に驚いたのが、こちらのヘッドホンに付いてる有線ケーブル、恐らくは電池切れを起こした時のための緊急的な用途で使うものなのだが、これを使うとめちゃくちゃ音が良くなる。
試しにスマホとFiio Q1 Mark2というポタアンの組み合わせで試してみたところ、Bluetooth接続時とは比べ物にならない程のクリアな音になり、この音質なら他の1~2万円前後のヘッドホンとも対等に戦えそうだ。
知名度のあるヘッドホンだとMASTER & DYNAMIC MH30に近い音作りだと感じた。
【総評】
ところどころ詰めの甘さも感じるものの2017年発売という事と、ヘッドホンを作って長くないメーカーが作る作品としては及第点と言える。
ただEarPrint機能が魅力的かと言われると、正直そうではなく、通常のイコライザー機能の方が便利ではないかと感じてしまった。
EDMやポップス、ロックをパワフルに聞きたい方におすすめ。
【点数】 ★★★★★★★ 7/10
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
・Sound's Deli/MADE IN TOKYO BANG(ヒップホップ) 〇
・EXO-K/MAMA - The 1st Mini Album(2012年,韓国1stミニ) 〇
・OWV/CHASER(2021年1st,日本の4人組男性ダンスグループ,吉本興業) 〇
・Bat Fangs/Queen of My World(2021年2nd,ロックンロールの王道)〇
・Webbed Wing/What's So Fucking Funny?(2021年,フィラデルフィアの Alternative Rock バンド) 〇
・TO1/RE:ALIZE(K-POP) 〇
・ケツメイシ/ケツノポリス12(J-POP,レゲエ) 〇
・Nicolas Gaunin/Hulahula Kane(エレクトロニカ) ◎
・ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団,アンドリス・ネルソンス,アントン・ブル/Brukner: Symphonies Nos.2&8 / Wagner: Meistersinger Prelude(クラシック) 〇
・APPARITION/Feel(デスメタル) ○
●OPPO Reno3a + Fiio Q1mk2 + Amazon Music HDによるサブスク音源
・クリス・ポッター/Sunrise Reprise(ジャズ) ◎
・WurtS/ワンス・アポン・ア・リバイバル(J-POP) 〇
・Cuir/Album(パンク) ◎
※私はアルバム全曲を通して聴く事を好み、1曲単位では聞かないです。
※かなり相性が良い→◎ 相性が良い→〇 あまり良くない △