【高音】★★★★
【中音】★★★
【低音】★★★★
【傾向】ドンシャリ
【解像度】普通
【分離感】普通
【音場】近い
【装着感】普通
【取り回し】普通
【発売当時の値段】16800円
★良い点★
・無骨なデザイン
・長時間の使用に耐える装着感
・ジャズ鑑賞に合う
★悪い点★
・アンプを通さないと音が篭って聞こえる。
・低音過多、高音も過剰、良くも悪くも刺激的な音
・人によっては「かっこ悪い」と感じるオールドライクなデザイン
こちらはモニターヘッドホンの名機と名高い、DT770PRO 80Ωだ。
スマホ等でも鳴らしやすいとされる32Ω版や、スタジオワークを想定した250Ω版も存在する。
私はプロデューサーでもミュージシャンでもないので、今回はリスニングヘッドホンの観点から、こちらのヘッドホンをレビューさせていただく。
1、音質以外の評価
シンプル・イズ・ベストなパッケージに無骨な外観のヘッドホンが男心をくすぐる。
個人的には「有り」だ。
ケーブルはスタジオでの利用を想定してか、少し長めで、ポータブル用途には不向きだと思った。
装着感は良好。見た目のガッチリ感に反して、イヤーパッドは着け心地が良く、長時間の作業やリスニングも苦ではないだろう。
重さは軽くも重くもなく中間ぐらい。特別な不快感は無かった。
ケーブルは絡まりづらくて管理しやすい。
2、音質評価
まずヘッドホンなので、何かしらの端子に挿せば音は鳴るものの、スマートフォンやパソコンに直挿しはおすすめしない。
全くもって本領を発揮できず、低音過多で篭った音、高音は伸びずと、散々な結果になってしまうからだ。
最低でも何かしらのヘッドホンアンプをご用意いただきたい。
私はプリメインアンプでありながら、ヘッドホンアンプも兼用している「DENON PMA-60」を今回のレビューでは使用した。
高域は刺激的に出ているのだが、「キン」という鋭利な音ではなく、「ドン」というような重めの音として響く印象だ。
元々リスニング向けでないのもあると思うが、ヘッドホンアンプを通した時の高音は結構刺激的で、人によってはうるさい、聞き疲れすると感じるかもしれない。
中域は出ているが、他の音域に比べるとあまり特徴的ではない。特にボーカルは低音に埋もれるような印象もあるので、女性ボーカルなどの高音ボーカルを中心に聞きたい方は別の選択肢があるだろう。
低域は多めで、低域が支配するぐらいの印象がある。ただヘッドホンアンプを通すと非常に上質な音になり、この低域こそ、DT770PROを特徴づける1つのポイントとなっている事がわかる。
音楽ジャンルで言うとジャズが圧倒的に合う。特に古い録音の物の方が合う印象を受けた。
独特のウォームな低音で聞くジャズは癖になり、この音で聞きたい、聞き返したいと思えるジャズアルバムが出てくるはずだ。
好みはわかれそうだが、クラシックも比較的良好。オーケストラのような壮大な演奏も低音を土台にパワフルに鳴らす。
音源にもよるが、ポップスやロックも比較的良好で、音源によっては高音が騒がしく感じるかもしれないが、刺激的で楽しめるとも言い換えられる。
個人的には音数の少ないポップスの方が、より楽しめるような印象だった。
またインダストリアル、メタル、EDM等のハードコアなジャンルも楽しませてくれるのだが、元々が過激な音楽ジャンルである上にDT770 PROの刺激的な音で再生されて、情報過多になる印象だ。
音源や、聞く側の体調が問われる瞬間である。
【総評】
低域が比較的暗く、抜けの良い音ではない。それを踏まえた上で聞きたい音楽をチョイスしていけば、快適なベイヤーライフを楽しめる。
インターネットでも散々言われているが、初心者が一番最初に手を出すヘッドホンではない。
ただ、一定数の機材が揃っており、ある程度、自分の聞きたい音の方向性を理解しているオーディオ中級者以降の方であれば、かなりコスパの良いヘッドホンだと言えるだろう。
何より、これだけの文字数を自然と打ち込んで熱意あるレポートをしてしまったのだから、語りたい事が必然的に多くなってしまうような、魅力的なヘッドホンなのだ。
【点数】 ★★★★★★★★★ 9/10
【名機認定!!!】
【ヘッドホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
●Mac Book Air +DENON PMA-60(ヘッドホンアンプとしての使用) + Amazon Music HDによるサブスク音源
・Siip/Siip
・Data Reject/Yellow Bulb.(2021年1st,ミネソタ州の実験ドゥオ,SWANS系) ○ ryoryotaさん
・Dead Best/Dead Best(2021年,フィラデルフィアのパンク2人組) ○ 陽さん
・Mario Batkovic/INTROSPECTIO(2021年,エクスペリメンタルアコーディオンプレーヤー,暗め) ○ 温さん
・No Buses/No Buses(2021年2nd) ○
・Aeon Station/Observatory(2021年,米ニュージャージーの伝説のインディ・ロック・バンド、ザ・レンズのキー・ソングライター、ケビン・ウィーランによるバンド) 温さん高評価
・Eris Drew/Quivering in Time(2021年,DJ兼プロデューサー,シカゴの女性,美しい曲) ○
・Khemmis/Deceiver(2021年4th,USドゥーム)
・TOBIAS BERNSTRUP/Petrichor(2021年,北欧スウェーデンのミニマルシンセポップ) ○
・バルト海フィルハーモニック & クリスチャン・ヤルヴィ/Richter: Exiles(2021年,マックス・リヒター,戦禍を逃れて世界をさまよう人々の姿と、彼らの苦難を描いた心を揺さぶる作品) ○
※私はアルバム全曲を通して聴く事を好み、1曲単位では聞かないです。
※かなり相性が良い→◎ 相性が良い→〇 あまり良くない △