【高音】★★★★★
【中音】★★★★
【低音】★★★
【傾向】ドンシャリ
【解像度】良い
【分離感】良い
【音場】普通
【フィット感】やや悪い
【取り回し】普通
【ドライバー】1DD
【発売当時の値段】4000円ぐらい
★良い点★
・こもりがなく抜けの良い音
・ジャンルを問わないサウンドチューニング
・安いイヤホンの中では格段に音が良い
★悪い点★
・低音が足りないと感じる方もいそうだ
・やや断線に不安が残る細いコードやプラグ
こちらは「キューナナ」シリーズの愛称もあるほどの人気があったPhilipsのイヤホンだ。
第一弾のSHE9700が高い評価を受けた後、マイナーチェンジを経てシリーズが継続していった。
こちらはSHE9720という型番だが、話を聞く限りはSHE9700とほとんど同じ音のマイナーチェンジ版と言えるだろう。
今回はこちらの製品をレビューしてみよう。
1、音質以外の評価
イヤーピースはSMLのスリーサイズが付属。
個人的には装着感が悪く、Mサイズだと少し大きく感じたがSサイズだと抜けやすく扱いに困った。
装着感がしっくりこない方はFinal E TYPEなどサードパーティー製のイヤーピースに交換しても良いかもしれない。
またイヤホンの右側コードだけが長くなっており首にかけられるタイプの、今となっては珍しい形状のイヤホンだ。
首にかけておける利便性はあるが、反面取り回しは少し悪いなと感じた。
またSHE9720ではイヤホンコードの長さを調整するケーブルキーパーが付属している。
ただ本末転倒な話だが、長さが丁度良かったのと巻きつける事自体が面倒で使用する機会がなかった。
また私は中古で買ったので付属してこなかったが、本来はキャリングケースも付属するようだ。
2、音質評価
高域は明瞭。かなり伸びやかだが刺さらないという理想的なチューニングだ。
中音域も明瞭。特にボーカルは清涼感あふれる声で、この価格帯のイヤホンとしては格別に良い表現だと感じだ。
女性ボーカルのスッと耳に入ってくるような優しい表現は特に良く思った。
また2020年前後に発売したイヤホンにはボーカルの伸びがやけに強調されたような不自然なチューニングのものも多かったが、それらに比べるとクールな印象だ。
低域は量感は少なめだがタイトでキレが良く、スピード感があると感じた。
あまり低域の部分は語られないイヤホンだ、が低価格帯としては上質で、尚且つアタック感のある音だと感じた。
ハッキリ言って、このイヤホンの音には驚いた。2015年発売のイヤホンにも関わらず非常に音が良くて、昨今の低価格帯イヤホンにも対抗できるだけの実力がある。
安いカナル型イヤホンにしては抜けが良く、インナーイヤーイヤホンを聴いているかのような爽快感があるのも特徴的だ。
細かい部分では解像度が低かったり、上位機種には及ばないような部分も多数あるのだが、粗の部分を誤魔化すのが上手いと感じた。
得意ジャンルをあげると女性ボーカル物、アニソン、ポップス、ジャズなどになるかと思うが、一通りのジャンルを試して特に苦手なものを感じなかった。
またドンシャリな音ではあるが聴き疲れしづらいチューニングで長時間の使用にも耐えられると感じた。
何より聴いてて楽しい音で、解像度が高ければ音楽を楽しく聴けるとは限らないという事を教えてくれるイヤホンだ。
【総評】
現在では廃盤となってしまったが再発してほしいイヤホンだ。
また現在は「キューナナ」シリーズの音を再現したネック型のワイヤレスイヤホン、SHE9700BTが発売されているので、近い音を探している方には良いかもしれない。
過去の名機は今でも通用する音だった。
【点数】 ★★★★★★★★★ 9/10
【名機認定!!!】
【イヤホンレビューに使ったDAP,音源,アルバム】
●Fiio M9(3.5mm直挿し)
・空白ごっこ/A little bit(J-POP,女性ボーカル) ○
●OPPO Reno3 A(直挿し) + Amazon Music HDによるサブスク音源
・かいりきベア/ダーリンシンドローム(ボカロ) ○
・最終定理論者/ORATORIO(J-POP,女性ボーカル) ○
・Elujay/Circmvnt(R&B) ○
・ンドゥドゥーゾ・マカティニ/In The Spirit Of Ntu(ジャズ) ◎
・AMBR/DIVE(ヒップホップ) ○
・LILI LIMIT/a.k.a(J-POP) ○
・水瀬いのり/glow(J-POP,女性ボーカル) ◎
※私はアルバム全曲を通して聴く事を好み、1曲単位では聞かないです。
※かなり相性が良い→◎ 相性が良い→〇 あまり良くない △